Yoriko Seto展
2026.4/7(Tue)-4/18(Sat)
Open 12:00-18:00
Close Sun/Mon
案内状に使った画像の説明
タイトルのuniは、ラテン語の接頭辞で、唯一という意味です。uniを使った言葉は、unite、unique、 uniform等があります。
友達とレストランで顔のシミについて話したことが、作品作りのきっかけになりました。美白クリームを顔に塗ることは、自分が本当にシミを消したいからなのか、もしくは一般社会の美の理想からの影響なのかを考察しました。
私は中学生の頃に、制服としてセーラー服を着ました。特に何も考えずに制服を着ていたことは、このシミを取りたいという考えと似ているのではないかと考え、セーラー服を作り始めました。
スマホで顔のシミを写真に撮り、それを拡大し、125 g/m²のドローイング紙に木炭で描きました。1,5x 26mの紙に描いた後、身体全体で紙を皺くちゃにし、通常の3倍の大きさのセーラー服を制作しました。
2025年ブレーメン市から一年間のアトリエ奨学金を受け取りました。その成果発表として、2025年12月に開催された個展で展示した作品です。
作者メッセージ
「かさねる」
この展示では、「かさねる」という行為をテーマにした作品を集めて展示します。
私は同じ紙の上に何度もドローイングを描く時があります。子供のころのことやドイツでの日常のささいな出来事、ふと浮かぶ考え、言葉にならない感情などを重ねていきます。先に描いた線は徐々に霞んで見えなくなり、紙の中に蓄積されます。うっすら見える線は、記憶の在り方のようです。思い出せないことでも、どこかに痕跡は残っています。
年月を重ねると、身体や物も変化し、劣化します。シミのない若かった頃の肌を思い出しながら、美白クリームを塗るような日常の中で、時間の積み重なりを感じます。空間に吊るされた紙のインスタレーションは制服の形になり、社会が作る美の理想、身体への見方、帰属意識について、複層的な考えが生み出されます。
さらに、この展示には短編アニメーションも展示します。アニメーションは「かさねる」という行為とは直接的には関係しませんが、時間や物語、映像表現を通して観客は様々な感覚的な体験を得ることができます。
抽象とモチーフを行き来するドローイング、制服のインスタレーション、そして短編アニメーションを通して、見えなくなったものや残り続けるものの層を表現しています。作品は、時間や記憶身体、社会の視線、そして映像表現が重なり合う場になっています。
march 2026 Yoriko Seto
オーナーズコメント
ドイツ・ブレーメンを拠点に活動する現代美術家、Yoriko Setoの個展を開催いたします。本展のテーマは「かさねる」。
Yoriko Setoは、和紙のような繊細な「紙」という素材を使い、日常的な衣服であるセーラー服を実物の3倍の大きさで構築します。
天井から吊るされたその作品は、紙のしわや重なりが独特の陰影を生み出し、かつてそこに存在した誰かの体温や、過ぎ去った時間の層(レイヤー)を可視化しているかのようです。素材をかさね、記憶をかさねる。ドイツ・ブレーメンでも発表され、静かな衝撃を与えたこのインスタレーションは、物質としての軽やかさと、記憶が持つ重みの境界を問いかけます。
また、会場ではドローイング、アーティストブック、版画に加え、アニメーションを用いた試みも展示。アナログな手仕事とデジタルな視覚体験が重なり合うことで、静止した作品に新たな物語の時間が流れます。福岡出身の作家が、異国の地で培った感性とともに紡ぎ出す「重なりの風景」。春のひととき、空間に浮かぶ記憶の断片にぜひ触れてみてください。
2026年3月 アートプロ ガラ 主宰 たなか照未