■ギャラリーオーナーズコメント
伝統ある日本画材を用いながら、現代に息づく「隠す美学」を追求する赤司真里菜の個展を開催いたします。
作者との対話の中で印象的だったのは、日本の精神性に対する深い共感と、この地に生まれたことへの純粋な愛着です。平安の『源氏物語絵巻』を彷彿とさせる華やかな色彩の根源には、日本人が古来より大切にしてきた「控えめな精神性」が静かに横たわっています。
本展では、修復にも用いられる極薄和紙を重ねる技法により、あえて全てを露わにせず、ベールや靄の向こう側に真実を覗かせる表現に挑んでいます。それは着物の着付けにも通じる、一部を隠すことで見る者の想像力を掻き立てる日本独自の文化観念そのものです。雅(みやび)な静寂の中に漂う、繊細で柔らかな空気感をぜひご高覧ください。
令和8年5月 アート プロ ガラ 主宰 たなか照未