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Kohei Yoshii

「失われゆく場所・・・」

2012. 3/20 - 4/21

Open 12:00-18:00
Close Sun/Mon







「あの日の記憶」 227×182p Acryl on canvas 2011



作家:吉井宏平

1987年福岡市生まれ
九州産業大学博士後期課程芸術研究科造形表現専攻 在学中

profile




「地下1」 Acryl on canvas


制作にあたってのコンセプト

ITの革新に伴い様々な情報が社会にあふれ、日々変化を遂げている現代社会、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)は私たちに新しいコミュニケーションの手段を提供し、私たちは携帯電話等により、自分の好きな場所、時間に様々な人と繋がる事ができるようになった。しかし一方で、生身の人間同士の関わりは減少し、ネット社会による弊害として現代人のコミュニケーション能力の低下が問題視されつつある。斯く言う私も携帯電話を持ち、インターネットサービスを利用しSNSにより、様々な友人・知人とコミュニケーションし情報を共有している。
 しかし、私はネット上で自分の発信した情報に反応がなかった場合、様々な友人と繋がっているにもかかわらず、得も言われぬ孤独感を感じる。私は、「みんなぼっち」という言葉を聞いたことがある。私が感じた感覚はまさにこの言葉に表されている。“みんな”といるはずなのに感じる孤独感・・・。私は人間のコミュニケーションとは、本当の人間の対話とはいったいなんなのかを考える。

 かつて、地域の人々との対話が行われる場所として大きな役割を果たしていたひとつに地域の商店街があった。現在のように大型ショッピングセンターやコンビニが少なく、いわゆる井戸端会議がおこなわれていた場所である。私たちの生活の中に自然と生身の人間同士のコミュニケーションが存在したのだ。しかし、近年、経済不況、少子高齢化などにより、多くの商店街がシャッター街へと変貌を遂げてしまった。我々は、地域のコミュニケーションの場を失い、地方の町はどんどん寂れ、社会から忘れられつつある。また、近年は個人情報という言葉も言われ始め、隣近所に住んでいる人の顔も名前も知らないといった家庭も増えており、地域ネットワークは崩壊の危機にあるといっても過言ではない。
 私は、先の東日本大震災より、人と人との繋がりが見直されている今、地元の商店街のような場をもう一度見直し、再生すべきではないだろうかと考える。

 私はこのシャッターの閉まってしまった商店街を見ているとなにか大切なモノを失った気がする。
 
 失ったモノが何なのか・・・私は描く事でそれを探していきたい。 
2012年3月 吉井 宏平




吉井宏平 Exhibition


2012. 3/20 - 4/21

Open 12:00-18:00
Close Sun/Mon



「失われゆく場所・・・」と題した吉井宏平さんの個展、

シャッター通りとなった錆びた景色は、
昔賑やかだった頃をより鮮やかに思い起こさせる。
古びた建物の入口通路が描かれたこの作品は、
一見したものは皆タイムトンネルに吸い込まれ、
ある日の記憶へといざなわれる。

作家は1987年生まれの20代、時代を見つめる吉井レンズは、
現代を生き抜いてきた大人たち、またそれを知らない子供たちに、
変貌する時代の渦の中で、捨て去り、生み出しを繰り返して生きてゆく
私達人間の姿を作品を通して問いかけている。